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SEVEN COSMOS IN FUKUI SYMPHONY-語り合う・今- 

SEVEN COSMOS IN FUKUI SYMPHONY-語り合う・今- 展が開催されます。

’’絵画の未来像求める六人の若者たち’’

この数十年来、絵画芸術を取り巻く変化は激しい。古今東西の素材や技法が自由に取り入れられ、さらに新しく発明工夫された工業化時代のものがそれに加わる。空前の素材技法の国際化自由化時代に突入し、その一方千年来継承維持してまた素材技法の消滅期にもさしかかる。その変化の大きさ激しさは、油彩技法が急速に普及した近代明治期をしのぎ、ユーラシア古代技法が中国からもたらされた絵画新興期にくらべられるかもしれない。 日本画や洋画の区分も消え、平面や立体の区分けすら意味をなくすかのようである。絵画芸術の存亡すら問い直されかける、絵画芸術は大変革期にさしかかっているようだ。 あらゆる素材技法を駆使し、さまざまな表現手法が可能になり、つぎつぎに新しいスタイル、形式が登場している。しかしそのスタイル、型式もすぐに古びてしまい、絵画そのものの質と中身は、以前にくらべそれほど新しくなっていないようにも見える。その一因は、スタイル、形式は新しいが、それを生み出している観念や感覚が恐らくさほど新しくないからであろう。現代の絵画表現は、素材技法でも一つの飽和点に達しているようである。現代の絵画表現は、やがて変わらざるを得ない。そして登場してくる未来の絵画表現には、恐らく新しい主張や提案の観念をスタイルや形式ごと直覚させる表現が待ち望まれるに違いない。「芸術家の役目は、まさしく新しい考えや定義を出すことだ」とピカソは語った。「絵画というものは、自然に関する研究に献身すべきものであり、教化となるべき彩画を作り出さなければならない。」そう語ったスザンヌ。こうした芸術家像が待ち望まれるのだろう。 実在も観念もすべてを含む七大宇宙にちなんで名付けられたというグループ「セブンコスモス」には、戦後生まれ、絵画の未来像を求める六人の三十代の画家達が参加している。 山種美術館賞を受賞し、創画会や日本美術院に所属している岡村桂三郎・齊藤典彦・吉川優・無所属で制作する河嶋淳司・森山知己・谷川泰宏。所属を越え、日本画・洋画のワクに縛られず、立体平面にこだわらず、既成の絵画表現にとらわれず、絵画芸術そのもののあり方を見つめ、考え続けている。 素材や技法にとらわれず、古今東西の距りなく、自由な絵画芸術の時代に生きる戦後世代の若手画家達の手で、新しい絵画芸術は切り開かれていくに違いない。「セブンコスモス」の画家たちの成果は、そうした大いなる絵画芸術の変身を感得させ、新しい絵画芸術の未来像を目近に我々に望ませ、心愉ませてくれると思う。

福井県立美術館館長 村瀬雅夫
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SEVEN COSMOS IN FUKUI SYMPHONY-語り合う・今-

会期:1994年2月1日(火)~8日(火) 
会場:福井県立美術館    

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